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著者:
岡倉覚三
朗読:
野々宮卯妙
出版:
ことのは出版 アイ文庫
収録:

掲載日 ジャンル:,

商品紹介

ことのは出版 英語で書かれた【日本の心を伝える名著シリーズ】第三弾。

「日本人なのに読んでないの!信じられない。素晴らしい作品だよ」・・英文版を朗読しているNGO「国境無きアーティストたち」主宰のエクトル・シエラさんの一言です。

日本を含むアジアが欧米から見下されていた前世紀初頭、東洋の意気込みや素晴らしさを知らしめるために、岡倉覚三(天心)がボストンにおいて英語で執筆した本で、原文は英語で書かれています。

中には挑発的とさえ感じる表現も駆使し、東洋に根付く道教や禅の心を「茶」を通して見事に描写しています。——初版出版は1906年(明治39年)。一世紀を越えた今もなお、版を重ね販売されています。(岩波書店/ISBN 4003311515)

原題は『The Book of Tea』

1906年 『THE BOOK OF TEA』フォックス・ダフィールド社(ニューヨーク)

1926年 『茶の本』村岡博訳 岩波文庫

Wikipedia

著者 岡倉天心

ライターズレビュー

A young American:”What sort of nese are you people? Are you Chinese, or Japanese, or Javanese?”

Tenshin Okakura :”We are Japanese gentlemen. But what kind of key are you? Are you a Yankee, or a donkey, or a monkey?”

「おまえたちは何ニーズ? チャイニーズ? ジャパニーズ?それともジャワニーズ?」

と現地アメリカの若者にからかわれたのに、岡倉天心応えて曰く、

「我々は日本の紳士だ、あんたこそ何キーか? ヤンキーか?ドンキーか? モンキーか?」

 

開国した日本から世界にむけて発信された代表的三著『茶の本』『武士道』『代表的日本人』。『茶の本』は生の美学を、『武士道』は死の美学を、そして『代表的日本人』はその具体例を、語ったといえるのではないかと思う。

この歴史的作品を、高校のとき教師からすすめられた(もちろん日本語訳版)。しかし、「お茶の話でしょ?」と、めくってみることもしなかった。高校生としてはもっとドラマティックなものが読みたかった、ようだ。そして今にいたり、耳から読んだわけだが、高校生自分では本で読もうとしても読めなかったかも・・・

望んでいたドラマティックな要素はあったのだが。

 

1905年、日露戦争終結。

本書が発表されたのは、1906年。

「西洋人は、日本が平和な文芸にふけっていた間は、野蛮国と見なしていたものである。しかるに満州の戦場に大々的殺戮を行ない始めてから文明国と呼んでいる。」

「インドの心霊性を無知といい、シナの謹直を愚鈍といい、日本の愛国心をば宿命論の結果といってあざけられていた。」

「ヨーロッパの帝国主義は、黄禍のばかげた叫びをあげることを恥じないが、アジアもまた、白禍の恐るべきをさとるに至るかもしれないということは、わかりかねている。」

――動乱の時代、であった。その時代に、日本を愛し、西欧に親しみ、日本を憂い、西欧をかなしんだ、その結果の叫びともいえる著作であった。

 

しかしてその内容であるが、難語の嵐にまけなければ、歴史あり薀蓄あり小説のような一幕も挟まれ、10代のわたしにもおもしろく感じられたと思う。物珍しく読んだだろう――ある意味、西洋人が本書を読んだときの感覚に近いかもしれない。そして、禅寺に行ってみたり、古都巡りを企てたり、お茶を習ったりしたがっただろうと思う。苦手としていた日本近代史の本を漁るようになったかもしれない。

そういうわたしもまた良かったかも、と惜しくも思う。

目次

第一章 人情の碗

・茶は日常生活の俗事の中に美を崇拝する一種の審美的宗教すなわち茶道の域に達す

・茶道は社会の上下を通じて広まる

・新旧両世界の誤解

・西洋における 茶の崇拝――欧州の古い文献に現われた茶の記録

・物と心の争いについての道教徒の話

・現今における富貴権勢を得ようとする争い

第二章 茶の諸流

・茶の進化の三時期

・唐、宋、明の時代を表わす煎茶、抹茶、淹茶・茶道の鼻祖陸羽・三代の茶に関する理想

・後世のシナ人には、茶は美味な飲料ではあるが理想ではない

・日本においては茶は生の術に関する宗教である

第三章 道教と禅道

・道教と禅道との関係

・道教とその後継者禅道は南方シナ精神の個人的傾向を表わす

・道教は浮世をかかるものとあきらめて、この憂き世の中にも美を見いだそうと努める

・禅道は道教の教えを強調している

・精進静慮することによって自性了解の極致に達せられる

・禅道は道教と同じく相対を崇拝する

・人生の些事の中にも偉大を考える禅の考え方が茶道の理想となる

・道教は審美的理想の基礎を与え禅道はこれを実際的なものとした

第四章 茶室

・茶室は茅屋に過ぎない

・茶室の簡素純潔・茶室の構造における象徴主義

・茶室の装飾法

・外界のわずらわしさを遠ざかった聖堂

第五章 芸術鑑賞

・美術鑑賞に必要な同情ある心の交通・名人とわれわれの間の内密の黙契・暗示の価値・美術の価値はただそれがわれわれに語る程度による・現今の美術 に対する表面的の熱狂は真の感じに根拠をおいていない――美術と考古学の混同――われわれは人生の美しいものを破壊することによって美術を破壊している

第六章 花

・花はわれらの不断の友

・「花の宗匠」

・西洋の社会における花の浪費・東洋の花卉栽培

・茶の宗匠と生花の法則

・生花の方法

・花のために花を崇拝すること

・生花の宗匠

・生花の流派、形式派と写実派

第七章 茶の宗匠

・芸術を真に鑑賞することはただ芸術から生きた力を生み出す人にのみ可能である

・ ・茶の宗匠の芸術に対する貢献

・ ・処世上に及ぼした影響

・ ・利休の最後の茶の湯

名句

・ 茶道の要義は「不完全なもの」を崇拝するにある。いわゆる人生というこの不可解なもののうちに、何か可能なものを成就しようとするやさしい企てであるから。

 

・ もしわれわれが文明国たるためには、血なまぐさい戦争の名誉によらなければならないとするならば、むしろいつまでも野蛮国に甘んじよう。

 

・ 浮世をこんなものだとあきらめて、この憂(う)き世の中にも美を見いだそうと努めている。

 

・ 物のつりあいを保って、おのれの地歩を失わず他人に譲ることが浮世芝居の成功の秘訣である

 

・ おのれを虚にして他を自由に入らすことのできる人は、すべての立場を自由に行動することができるようになるであろう。

 

・ “「なぜ兎はおまえから逃げ去ったのか。」と祖師が尋ねると、「私を恐れてでしょう。」と男は答えた。祖師は言った、「そうではない、おまえに残忍性があるからだ。」”

 

・ 禅の東洋思想に対する特殊な寄与は、この現世の事をも後生のことと同じように重く認めたことである。

 

・ 装飾の単純、装飾法のしばしば変化するのになれている日本人の目には、絵画、彫刻、骨董品のおびただしい陳列で永久的に満たされている西洋の屋内は、単に俗な富を誇示しているに過ぎない感を与える。一個の傑作品でも絶えずながめて楽しむには多大の鑑賞力を要する。してみれば欧米の家庭にしばしば見るような色彩形状の混沌たる間に毎日毎日生きている人たちの風雅な心はさぞかし際限もなく深いものであろう。

 

・ 意匠の均等は想像の清新を全く破壊する。

 

・ 今日は工業主義のために真に風流を楽しむことは世界至るところますます困難になって行く。われわれは今までよりもいっそう茶室を必要とするのではなかろうか。

 

・ “偉大な絵画に接するには、王侯に接するごとくせよ。”――宗匠小堀遠州

 

・ 名人にはいつでもごちそうの用意があるが、われわれはただみずから味わう力がないために飢えている。

 

・ われらの個性さえも、ある意味においてわれわれの理解力に制限を設けるものである。

 

・ われわれのこの民本主義の時代においては、人は自己の感情には無頓着に世間一般から最も良いと考えられている物を得ようとかしましく騒ぐ。

 

・ われわれはあまりに分類し過ぎて、あまりに楽しむことが少ない。

 

・ 変化こそは唯一の永遠である。

 

・ 何ゆえに死を生のごとく喜び迎えないのであるか。

 

・ 美を友として世を送った人のみが麗しい往生をすることができる。

 

リスナーズレビュー

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