「サウンドスケッチ」は、ラジオ局やディレクターからの制約を一切排除し、すべて自分ひとりで、自分の思うがままに作ろうという決意からスタートしました。そしてそこにこめられるのは、私という個人が世界とつながっているラインを見据えた多元的なヴィジョンです。
言葉があり、音楽がある。
音楽はけっしてBGMではなく、言葉もまたけっしてストーリーを伝えるための道具ではない。ここではひとりひとりが身体から音を発し、おたがいに融合しあってひとつの世界観を表現しようとします。
声と音に耳をすませ、そして身体もすませてみてください。もっとも、なにが見えるかは、結局のところ、あなたにゆだねられています。
(水城雄/みずき・ゆう)
1. Him:岩山に身を潜めるテロリストと、彼に密着するジャーナリスト。正義と悪を分かつことはできるのか――(朗読:榊原忠美)
2. Everyday She Feeds Hens:毎朝、鶏たちに餌をやってから学校へ行くのが彼女の「仕事」。毎日の小さな事柄が重なり合いながら彼女をがんじがらめにしているように見える、でも――(朗読:窪田涼子)
3. A Desert Boy:砂漠で観光ラクダの客引きをしている少年。聡明な少年は、砂漠からどこに行くこともないだろう。しかしその世界は決して狭くはない。(朗読:中村恵子)
4. An Old Snow Woman:豪雪地帯を見舞うさらなる豪雪。子どもらはみな都会へ行き、ひとり黙々と雪下ろしを続ける老婆の、孤独や悲哀を越えた視線。(朗読:中川玲)
5. Fourteen:携帯電話のなかった時代の初恋。初めての嘘。大人になるということ……中年の私が14歳のころの自身に送る手紙。(朗読:春日玲)
6. Kalimba Man:アフリカの一都市で日本人のバイヤーに売るための缶製楽器(カリンバ)を作り続ける男。生活に追われながらも彼の目は遠くを見ることを忘れない。(朗読:榊原忠美)
7. A Chinese Farmer:偉(ウェイ)は真面目に野菜を作り続けてきたが、生活は苦しくなるばかり……生きる道を見失いかけながら、それでも生きるしかないのか。(朗読:渡部龍朗 歌:永倉秀恵)
8. 青い空、白い雲:ふるさとの青い空、緑の山並み……「僕」は幸福な記憶に満たされながら、やがてふるさとに溶けていく。懐かしくも新しい「ふるさと」の歌。(朗読:本弓佳奈 歌:永倉秀恵)

ことのはレビュー:
作家・音楽家の水城雄による、ストーリーと音楽の融合作品シリーズ「サウンドスケッチ」。ショートストーリーと音楽を密接にからませることで、世界の“ある様相”を切りとりイメージングする、水城雄のオリジナル作品群です。何度も繰り返し聞くほどに味わいを深める、ことばと音楽が創りあげる文学的宇宙をじっくりとお楽しみください。
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