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20代から40年あまりにわたって書き続けた日本文学の精華。

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掌の小説

著者 川端康成

朗読 松宮森乃

朗読時間 869分
CD枚数 12枚組

¥5500円

あらすじ

・今年は柿の豊年で山の秋が美しい。
半島の南の端の港である。
駄菓子を並べた待合室の二階から、紫の襟の黄色い服を着た運転手が下りて来る。
表には大型の赤い定期乗合自動車が紫の旗を立てている ...
「お婆さん、一番前へ乗んなさいよ。前ほど揺れないんだ。道が遠いからね。」
 母親が十五里北の汽車のある町へ娘を売りに行くのである・・・。 
映画化された「有難う」より

・ロシア人のアンナは弟二人とともに旅回りの楽隊と、スリをして生活をしていた。
学生時代の主人公とアンナは出会い、別れる。
それから数年後、銀座の三月の夜、主人公は再びアンナと出会う。
しかし彼女は学生マンとを着て、少年の格好をしていた。
「日本人アンナ」より

・少年の父が転任するため、小雨の降る日に少年と少女は写真を撮りに行った。
少女は少年のさす傘に二人で入ったがお互いに意識しすぎて体を近づけることが出来なかった。
そしてぎこちないまま写真屋さんにつく・・・。
「雨傘」


幻想的、不条理、様々な感情と美しい日本語を非常に短い数百文字で
文学をまとめたまさに手のひら(掌)の楽しめる短編集。

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日本の小説家であり、文芸評論家。
大正から昭和の戦前・戦後にかけて活躍した近現代日本文学の作家。
1968年、日本人として初のノーベル文学賞を受賞。
代表作は
『伊豆の踊子』『抒情歌』『禽獣』『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』『古都』など。

また川端康成は新人発掘の名人でもあり、ハンセン病の青年・北條民雄の作品を世に送り出し、
佐左木俊郎、武田麟太郎、藤沢桓夫、少年少女の文章、山川彌千枝、豊田正子、岡本かの子、中里恒子、
三島由紀夫などを後援し、数多くの新しい才能を育て自立に導いた。
多くの名誉ある文学賞を受賞したが、1972年72歳でこの世を去った。
出典 Wikipediaより

掌の小説の映画化
映画化
1936年 松竹シネマ (原作:有難う)
出演:上原謙、桑野通子、築地まゆみ、和田登志子、ほか
2010年 (掌の小説より4話のオムニバス映画)
(原作)「笑はぬ男」と「死面」、「有難う」と「朝の爪」、「日本人アンナ」、「不死」

※数々の作品が映画化され最新では2019年9月に前田敦子主演で上映される。

この著者のその他の作品

みずうみ
伊豆の踊子
雪国
千羽鶴
波千鳥
名人


※タイトルクリックで作品ページ飛びます。


この朗読者のその他の作品

枕草子
小さき者の声
母の手毬歌
野草雑記
野鳥雑記
木綿以前の事
夏の夜の夢
みだれ髪


※タイトルクリックで作品ページ飛びます。

川端康成の掌の小説は20代から書き始め、40年という長い年月をかけて作られた作品です。
初期の頃の35編は金星堂より刊行の処女作品「感情装飾」に収録されました。
その後新作を加えた47編を新潮社より刊行の「僕の標本室」という題名で収録されさらにその後改造社より「川端康成選集第1巻」として
77編が収録されてました。
これらの掌編小説について1938年の時点で、
「私の著作のうちで、最もなつかしく、最も愛し、今も尚最も多くの人に贈りたいと思ふのは、実にこれらの掌の小説である。
この巻の作品の大半は二十代に書いた。多くの文学者が若い頃に詩を書くが 、
私は詩の代りに掌の小説を書いたのであつたらう。無理にこしらへた作もあるけれども、
またおのづから流れ出たよい作も少くない。今日から見ると、
この巻を「僕の標本室」とするには不満はあつても、若い日の詩精神はかなり生きてゐると思ふ。」

と、不満はあるけど出来は悪くないと言っている感じに見えたが、12年後には心変わりがあったのか、
「それらの標本の多くを私は今好まない」、「私の歩みは間違つてゐたやうに思はれる」と自己嫌悪の言葉を並べたそうです。

でも少し分かる気がします。
何かをつくっている方は分かると思いますが、その時完成した物はその時が一番よく見えて、
また次に他の物が完成すると前のものが劣化して見えてしまいますよね(^_^;)
だから次はもっともっと良くしたいと試行錯誤する力になると思うんです。
もちろん前のものも一生懸命つくったものなので愛着はあると思いますが。笑
それの繰り返しで上達するんだと私は思います(^^)
お料理、アートなど、なんでも、どんなお仕事でも関係してるとおもいます。

文豪と言われている川端康成も試行錯誤して、良い作品を世の中に出したと思うと、
私も頑張ろうと思えてきます。
一生懸命に生み出して残してくれた美しい日本語を、
忘れないように生きて生きたいなと感じさせてくれる良い作品集でした。
ただ物語として聴くのも良いですが、川端康成の成長期ブログという目線で聴いて見るのも面白いとおもいます!

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