「お願いでございます。こ、このとおりで……」盗改方の密偵・大滝の五郎蔵は、昔の子分砂井の鶴吉に哀願されていた。「このままじゃあ、あの女に精も根も吸いとられて、あっしは、もう、近えうちにあの世へ……」「何故、逃げねえ」「あっしは逃げられねえ弱味を、おけいにつかまれているのでござんす」・・鶴吉は女賊〔掻掘のおけい〕に絡め取られ、手も足も出ないのだと泣いた。 (時代小説)監督/吉田純子・編集/三好達也_林岳史
掻掘のおけい

- 著者:
- 池波正太郎
- 朗読:
- 三好翼
- 出版:
- ことのは出版株式会社
- 収録:
- 0:52:51