著者:
夏目漱石
朗読:
渡部龍朗
出版:
アイ文庫
収録:

掲載日 ジャンル:

商品紹介

長井代助は優秀な成績で大学を卒業しながら、職に就かずに父と兄に生活費を賄われて日々を送っている高等遊民。
父からは強く見合いを勧められているが、なぜかその気になれない。
一方、学生時代の親友、平岡常次郎は地方の銀行員という職に就いたが、横領問題の責を負い、失職して東京に帰ってくる。
仕事に失敗した平岡は結婚生活もうまくいかなくなり、妻の三千代は苦労の日々を送っている。
三千代を平岡に紹介したのは代助だった。三年の時を隔てて再開した三人だったが、三千代の窮状を聞くうち、代助は三千代を愛していたことに気付く。
しかも、平岡に会わせるずっと以前から……自分から動くことをしなかった代助が、初めて動いたとき、三人の運命が、そして父や兄との関係が、音を立てて変わる!
「他人の妻を愛する権利が君にあるか」――漱石前期三部作『三四郎〈さんしろう〉』『それから』『門〈もん〉』の中核をなす、メロドラマのような物語展開のなかに人間の普遍的な本質をえぐる鋭い視線が光る傑作。
朗読は、漱石前期三部作に挑戦中の渡部龍朗。大好きな宮沢賢治作品とはまた違う、大人っぽく淡々とした読みで、ドラマチックな長編を飽かせず聞かせます!

Wikipedia

作品 それから

著者 夏目漱石

朗読者 渡部龍朗

ライターズレビュー

あかんわ~
わたし、主人公の代助はん、好かん!
「パンに関係した経験は切実かもしれないが、要するに劣等だよ。パンを離れ水を離れた贅沢な経験をしなくちゃ人間の甲斐はない」
あたまでっかちな、親のスネかじってるニートが言いそうなセリフや!!
そんなん、みんなそういう贅沢したいに決まってるわ!
そうしてみて、やっぱりあかんわ、こんな生活暇でしゃーない言うひとのほうが、劣等だろうが、下品だろうが、わたしは好きや!
あげく、父親の意に反することをしでかして「己の方でも、もう御前の世話はせんから」と父親に言われると、「代助の尤も恐るゝ時期は近づいた。」「生活の堕落(この場合職業を持つこと)は精神の自由を殺す点に於て彼の尤も苦痛とする所であつた。」とかグチグチ言っている。生活の堕落がイヤならスポンサー様にちゃんと尾っぽ振ってろっての。
精神の自由を確保してなにを考えているかといえば、たとえば日露戦争後の日本の姿を「むりにも一等国の仲間入りをしようとするが、日本ほど借金をこしらえて貧乏震いしている国はない」と批判したりしているが、何故そういう国になってしまったか、そういう状況から脱するにはどうしたらいいか、といった思索の発展はない。
おしなべて言うことばかりなんとなく立派な風で、いざとなったら何もできない、友人を助けることも、自分を養うことも、自分の欲を抑えることも。
『三四郎』の美禰子について漱石は「無意識の偽善者」と評したそうだが、その評価は、よっぽど代助にあてはまると思う。

『それから』の主題は「姦淫」だときいたことがある。

が、わたしにはよくできた書割のような――実も、美も、強さも、正義も、ない、自分ばかりが大事な代助、そしてそれが重んぜられる風、こそ、おそろしく感じた。

作中、こればかりは、ただただ美しい、「愛」。
ちゃぶ台を返した代助の脱皮と奮闘を切に願う。

それからの舞台

伝通院 ――文京区小石川
伝通院 ――文京区小石川

リスナーズレビュー

個人の自由と社会の制約との葛藤を描いて深い。さすが名作。朗読なので、旧字に煩わされなくてよかった。(50代 男性)

学生の頃読んだ時はピンとこなくて、「こころ」とか「坊ちゃん」の方がおもしろかった。今回、とても引きこまれた。人生経験のおかげか?朗読で、自分で読むよりテンポがゆっくりなせいか?(30代 男性)

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