岡本かの子の名作「家霊」と、幻想的小説「川」の2編を収録。
山の手の高台に名物のどじょう店がある。帳場には女学校を出て間もないくめ子 が、病弱の母に代わって坐っている。夜になるといつも、老齢の彫金師の徳永が どじょう汁をおずおずと頼みにくる。支払いが滞る徳永に店の者は邪険にするの だが、母親の若い時代から心の交流があったことをしみじみ語る徳永に、くめ子 は一碗のいのちの汁を差し出すのだった(『家霊』)。美しい川の畔に住む深窓の乙女は、川への憧れ、思慕、追憶がいつも心にあ った。下男の直助は、彼女に一途に仕えながらも、心の底では思慕の情を抱いて いる。やがて彼女は青年画家のもとに嫁いでいったのだが・・・(『川』)。
山の手の高台に名物のどじょう店がある。帳場には女学校を出て間もないくめ子 が、病弱の母に代わって坐っている。夜になるといつも、老齢の彫金師の徳永が どじょう汁をおずおずと頼みにくる。支払いが滞る徳永に店の者は邪険にするの だが、母親の若い時代から心の交流があったことをしみじみ語る徳永に、くめ子 は一碗のいのちの汁を差し出すのだった(『家霊』)。美しい川の畔に住む深窓の乙女は、川への憧れ、思慕、追憶がいつも心にあ った。下男の直助は、彼女に一途に仕えながらも、心の底では思慕の情を抱いて いる。やがて彼女は青年画家のもとに嫁いでいったのだが・・・(『川』)。