商品紹介
「これは海だ/海というものだ/ああ その水は/塩分に満ちている」
航海中の生活、世界各国の寄港地で出くわす事件や珍事、人々との珍妙なやりとり。マンボウ先生の手にかかると、なんでもないはずものが突拍子もなくなり、世の中はこんなにおかしなことに満ち溢れていたのかと、目の覚める思いをすることに……。
昭和30年代前半、水産庁の漁業調査船に船医として乗り込んだ若き精神科医・マンボウ先生の、世界漫遊5ヶ月間の珍道中。ハチャメチャユーモアエッセイ、どくとるマンボウシリーズがオーディオブックになりました。
ユニークな文章を際立たせる、相原麻理衣のテンポ良い軽妙な朗読で、最後まで聞く人を飽きさせません。旅嫌いのひとにもおすすめできます。
Wikipedia
著者 北杜夫
ライターズレビュー
雑誌だったか、それとも新聞かネットかもしれないが、ともかく
“3年ほど日記を書いたのを読み返してみたら、自分が今ふりかえって印象深かったことや記憶に残っていることは、ほとんど書かれていなかった。ただの行動記録でしかなかった。だからもう日記などやめてしまうことにして、みんな捨ててしまった。”
という旨の記事を――さて、何年前に読んだのだったか。
「私はこの本の中で、大切なこと、カンジンなことはすべて省略し、くだらぬこと、取るに足らぬこと、書いても書かなくても変わりはないが書かない方がマシなことだけを書くことにした」
マンボウ氏は本著についてこう決意しているが、決意するまでもなく、そういうことしか覚えていなかったのかもしれない。
中学時代、学校から一人帰る道で見た、他人の家の窓越しの夕日。小学生、4年だったか、5年だったか、もしかしたら当事者の6年生だった可能性もあるのだが、ともかく、卒業式の練習で、「おまえほどじっと座っていられない奴は幼稚園からやりなおせ」と言われたことは、今でも胸に痛い。
取るに足らないけれど忘れがたいことのエキスでわたしはできている。
「くだらぬこと、取るに足らぬこと、書いても書かなくても変わりはないが書かない方がマシなこと」
は、たくさんのたくさんのひとが共有できる真実のような気がする。 だから、
「くだらぬこと、取るに足らぬこと、書いても書かなくても変わりはないが書かない方がマシなこと」
のつまった本著が、50年経ってもおもしろく、どこから聞きはじめてもおもしろく、読む人をえらばずおもしろい作品であるのは、当然の結果かもしれない。
また、この作品は、気分がいいときにも 元気がでないときにもおもしろいうえ、耳さわりのよい声で読まれているので、ナイトキャップがわりにもおすすめである。
マンボウズ
もともと北杜夫は、『どくとるマンボウ航海記』なんてはっちゃけた話を書くつもりはなかった。
作家のタマゴがちびちゃい漁業調査船に乗って世界を回ってきた、まだ海外渡航自体が簡単ではなかった当時、これはメズラシイ、と 旅行記の依頼が複数社から舞い込んだようだがすべて断っている。
純文学をめざす、精神科のインターンだったのだ。
それを旧制中学校時代からの友人で中央公論社の編集者だった宮脇俊三氏が、ひそかにあきらめずに機を待っていた。そして『夜と霧の隅で』(第43回芥川龍之介賞を受賞)の執筆にいきづまっていたものの気分転換としてけしかけ(?)、この世に引きずり出してしまった。
そうして、この世に出たマンボウは、北杜夫84年の人生の間に、書かれ、書かれて、以下のごとくなった。
どくとるマンボウ航海記
どくとるマンボウ昆虫記
どくとるマンボウ小辞典
どくとるマンボウ途中下車
マンボウおもちゃ箱
どくとるマンボウ青春記
月と10セント マンボウ赤毛布米国旅行記
人間とマンボウ
マンボウぼうえんきょう
マンボウ周遊券
どくとるマンボウ追想記
美女とマンボウ(対談)人類とマンボウ1
怪人とマンボウ(対談)人類とマンボウ2
スターとマンボウ 人類とマンボウ3
マンボウ談話室(対談)
マンボウ響躁曲 地中海・南太平洋の旅
マンボウ夢遊郷 中南米を行く
マンボウぱじゃま対談 美女かいぼう編
マンボウぱじゃま対談 男性かいぼう編
マンボウ博士と怪人マブゼ
マンボウ宝島 若者のためのエッセイ集
マンボウ雑学記 岩波新書
マンボウ人間博物館
マンボウマブゼ共和国建国由来記
マンボウ交遊録 マンボウの乗馬読本
マンボウ万華鏡 物語の中の物語
マンボウ百一夜
マンボウの朝とマブゼの夜
マンボウVSブッシュマン
マンボウ酔族館
マンボウ的人生論 若者のためのエッセイ集
マンボウ氏の暴言とたわごと
どくとるマンボウ医局記
マンボウ哀愁のヨーロッパ再訪記
マンボウ愛妻記 改題:マンボウ恐妻記
マンボウ遺言状
マンボウ夢草紙 改題:マンボウ夢のまた夢
マンボウ最後の名推理
マンボウ阪神狂時代
どくとるマンボウ回想記
マンボウ最後の大バクチ
マンボウ家の思い出旅行
マンボウ家族航海記
マンボウ最後の家族旅行
マンボウ思い出の昆虫記
このなかでは、『青春期』『昆虫記』あたりが、今も人気が高いようだ。個人的には愛妻記ならぬ『恐妻記』も、奥さんへの深い敬意とともに推薦したい。古今東西かわることなく、ダンナって人種はホントウに困ったもんデスネ~
ちなみに、マンボウをこの世に出した件の編集者は、後に作家となっている。
読作家の北杜夫さん死去 「どくとるマンボウ航海記」「楡家の人びと」
2011.10.26 08:31 MSNニュース
大河小説「楡(にれ)家(け)の人びと」やユーモラスな「どくとるマンボウ」シリーズで親しまれた作家で日本芸術院会員の北杜夫(きた・もりお、本 名・斎藤宗吉=さいとう・そうきち)さんが24日午前6時2分、腸閉(へい)塞(そく)のため東京都内の病院で死去した。84歳。葬儀・告別式は親族で行 う。喪主は妻、斎藤喜美子(さいとう・きみこ)さん。故人の遺志でお別れの会などは行わない。
23日の昼食後に体調を崩して入院。24日早朝に容体が急変したという。
昭和2年、アララギ派の歌人で精神科医だった斎藤茂吉の次男として東京に生まれた。東北大医学部を卒業。父の歌集や独作家、トーマス・マンの影響を受け、 医師として働くかたわら小説などを発表した。船医としてマグロ調査船に乗り込んだ経験をユーモラスに書いた「どくとるマンボウ航海記」を昭和35年に出版 し、人気作家に。同年、ナチス支配下の精神科医の苦悩を描いた「夜と霧の隅で」で芥川賞を受賞した。39年には斎藤家3代をモデルにした長篇「楡家の人び と」を発表。毎日出版文化賞を受賞するなど高く評価された。
主な作品に、自伝的小説「幽霊」、南米日本人移民を題材にした大作「輝ける碧(あお)き空の下で」(日本文学大賞)、父茂吉の人生を描いた評伝4部作(大仏次郎賞)など。兄は精神科医でエッセイストとして知られた斎藤茂太さん、長女はエッセイストの斎藤由香さん。
リスナーズレビュー
お父さんは大人の本だって言ったけどおもしろかった!(小学6年生 女性)
どこまでがウソかマコトか判然としないが、旅に出たくなるのが難だと、主人がぼやいていました。(70代 女性)
ことのは出版では作品を聴いてレビューを書いてくれる方を募集しています。 オーディオブックを体験したいという方は「オーディオブックリスナー募集」まで
関連書籍
関連作品
