器量良しのおせきは使いの帰り、影踏み遊びに興じる子どもたちに影を踏まれる。子どもらが去ったあとも追われるように逃げ帰ったおせきだったが、迎えた親たちも恋人も、「寿命が縮まる」と怯えるおせきを落ち着かせることはできなかった。やがて、影を作る月夜を恐れ、日光を恐れるようになったおせきに、恐ろしい異変が――
「半七捕物帳」「修善寺物語」で有名な岡本綺堂による江戸怪異譚。英米怪奇文学への造詣が深く、江戸風俗の描写に長けた著者ならではのじわりと迫る恐怖を、歯切れの良い朗読が盛り上げます。(C)アイ文庫