商品紹介
旧制高校生である主人公が、孤独に悩み、伊豆への一人旅の途中旅芸人の一座と道連れとなる。
一座の一人であった純真な踊り子へ抱いた想いは、孤児根性でゆがんだ主人公の心をあたたかくときほぐしてゆく。
醜悪な現実をえぐるものが多い川端作品の中で、珍しく清涼剤のように爽やかな叙情が漂う美しい青春の譜です。
ノーベル賞作家川端康成の出世作となりました。
オーディオブック「奥の細道」ほか、「木を植えた人」を聴くプロジェクト」など舞台活動でも活躍中の榊原忠美氏の落ちついた、朗読をお楽しみください。
Wikipedia
作品 伊豆の踊子
著者 川端康成
朗読者 榊原忠美
ライターズレビュー
これは、贅沢な作品である。
“若桐のように足のよく伸びた白い裸身を眺めて、私は心に清水を感じ、ほうっと深い息を吐いてから、ことこと笑った。”
ことばえらびの美しさや物語に満ちる冴え冴えとした気配はさすが、川端康成。
そのなかでも、自分や世界を受け入れられない煩悶や清々とした世界は、まだ若い――25才前後で、まだ青臭い青年だからこそ書きえたものだろう。
後年の作品のいやらしさ、計算高さや苦しみのあとを感じない。女に対する屈折した情熱も感じない。どことなく単純だ。
「数々の日本文学史に燦然とかがやく名作を遺した近現代日本文学の頂点に立つ作家のひとり」とされる川端康成は研究書も評論も多く、その出世作である『伊豆の踊子』もまた然りである。後年、作者自身もいくらか『踊り子』について語っている。ついでにいえば「常識」「価値観」も大正・昭和・平成と1世紀近い時を経てかわり、注釈が必要なところも多い。
しかし、そんなことは知らなくてもいい。
下手な先入観はないほうがいい。
これ書いた時、世に出た時、作者自身も世間もそんなことは知らなかった。
主人公の青年自身、世間知らずのお坊ちゃん学生である。
何も知らず、まずは、旅の道連れとなるべきだと思う。
難しいことはその後でいい。それで遅くないし、そのほうがいい。。それから、また、再読すればいい。なんども聞く価値のある作品であることだし。
伊豆の康成
大阪に生まれたことを考えると、川端康成の伊豆デビューは早い。第一高等学校(旧制)入学の翌年である。
その時の4泊5日の旅が、この本作の源となったという。
以下が、その旅程である。
10月30日
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10月31日
修善寺温泉泊。宿不明。
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11月1、2日
湯ヶ島温泉「湯本館」http://www.yumotokan-izu.jp/泊。
この宿はその後も川端康成の定宿となった。
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徒歩で旧天城トンネルhttp://www.amagigoe.jp/00TOP09.html(伊豆観光協会HP内)を越える。
途中、旅芸人一座と道連れに。
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11月3、4日
湯ヶ野温泉「福田家」http://www4.ocn.ne.jp/~hukudaya/泊
『伊豆の踊子』作中で踊り子が入っている共同浴場のモデルと思われる温泉は、地元湯ヶ野区民専用となっており、部外者は入浴できない。
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11月5日
下田木賃宿「甲州屋」泊
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11月6日
下田港から船で東京へ。
この旅より10年ほどものあいだ、川端康成は伊豆に通い詰める。
殊に大学を卒業してからの3、4年は半年~1年滞在したり、一方で宿賃を払わなかったこともあったようだ。
『伊豆の踊り子』以外にも伊豆を舞台にした著作も多く残している。
リスナーズレビュー
最近寝付きが悪くて購入。伊豆の踊子は数十年ぶり。いい夢が見られた。また聞こうと思う。(60代 男性)
主人公のほうが年下なのに、踊り子の人たちよりえらそうだった。でも、主人公のほうもいろいろなやんでいた。(小学校5年生 女性)
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