「硝子戸の中」は、早稲田の漱石山房の硝子戸の書斎に坐して、思い浮かぶあれこれを綴った滋味溢れる漱石最晩年の小品集。胃潰瘍の悪化で死去する前年の作品である。雑誌用の写真撮影のこと、愛犬ヘクトーのこと、絵の賛辞を求める厚かましい人のこと、「ある程の菊投げ入れよ棺の中」の句を手向けた女性のことなどをユーモラスに書き、最後には兄や母についてしみじみと回想している(全39編)。他に、寺の老師に20年ぶりに再会したときの様子を描く「初秋の一日」、敬愛する哲学の外 国人教師との交流を描く「ケーベル先生」、小気味良い軽妙な調子で生い立ちを語る「僕の昔」、オノトの万年筆に親しむまでの紆余曲折を語る「余と万年筆」を収録。
夏目漱石随筆集第1巻<硝子戸の中/初秋の一日 他3編>(CD4枚組)

- 著者:
- 夏目漱石
- 朗読:
- wis
- 出版:
- 響林社(<声を便りに>オーディオブック)
- 収録:
- 5:00:12