井伏文学初期の処女作「山椒魚」は、気がつかないうちに体が大きくなって、岩屋の奥に閉じ込められてしまった山椒魚の悲哀をユーモラスに描く。「屋根の上のサワン」は、猟銃で撃たれて苦しんでいた雁の治療を通じて心を通わせる日々と、仲間を求めて飛び去っていった雁への思いを綴る抒情的作品。「女人来訪」は、新婚二週間もたたないうちに、かつて結婚を申し込んだことがある女性からの手紙が舞い込んだことをきっかけに巻き起こるドタバタを描くユーモア短編。「夜ふけと梅の花」は、ある夜ふけに顔中傷だらけの酔漢を介抱したところ、無理やり渡された五円札を返しそびれて以降の不安な日々をユーモラスに描く。(C)wis
山椒魚、屋根の上のサワン、女人来訪、夜ふけと梅の花(CD2枚組)

- 著者:
- 井伏鱒二
- 朗読:
- wis
- 出版:
- 響林社(<声を便りに>オーディオブック)
- 収録:
- 2:14:53