その客のことを、平蔵は忘れることにし、はこばれて来た貝柱の〔かき揚げ〕を浮かせたそばをやりはじめ、(む……うまい) 否応なしに舌へ来る味覚と同時に、またも、(あの男、どうも、くさい・・・) 箸を置き、連子窓の隙間から源兵衛橋を南へわたって行く、いまの客の後姿を注視した。―鬼平犯科帳より―(時代小説)
蛇の眼

- 著者:
- 池波正太郎
- 朗読:
- 神谷尚武
- 出版:
- ことのは出版株式会社
- 収録:
- 1:50:10
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掲載日 ジャンル:歴史・時代小説